シンデレラは何ルート?《王子or魔法使い》







時が止まったかと思った。








吸い込まれるようなほど美しく、汚れを知らぬような純粋な、翡翠色の瞳_____





私は息をするのも忘れてしまうくらい、その瞳に引き込まれた。







(これが、噂の、王子様…)













「…あの。」



王子の一言で私はやっと我にかえった。





声をかけられなければずっと見とれていただろう。




何故かはわからないけれど、同じ翡翠色の瞳を持つアルファと出会った時よりも、今目の前にいる彼のほうが私は惹かれていた。






(王子があの時の『男の子』である可能性が高いからかな)



そんな風に思った。







「僕はリリアーヌ家第一王子。リリアーヌ・クリフと申します。いきなりのご無礼お許しください。」


王子が丁寧に挨拶し謝罪をしてきた。




まさか王子に頭を下げられるとは思いもしない私は戸惑ったものの



「お顔をお上げください。
王子様のことは勿論存じ上げています。
私もこの国の市民ですから。
今日は王子様のお誕生日パーティーとお聞きし是非お祝いしたいと思い舞踏会へ参加させていただきました。」



恥をかかぬよう、しっかりとした立ち振る舞いをしてみせた。





すると王子は驚いたように



「失礼ですが、あなたのお歳は…?」



と訪ねてきたのだ。




私は何故そんなに驚くのか不思議だったが、気にせず答えた。



「17です。」


と。




それを聞いた王子はさらに大きく驚き、私を凝視した。



それを見た私は、王子の考えていることを理解し不愉快になった。



確かに私は童顔で背も低く、年齢より若く見られることが多いが、そこまで露骨に驚かなくても…




私がムスッとしていると、王子は慌てて弁解した。



「馬鹿にしているわけではありませんよ。ただ思っていたよりも僕と年齢が近いことに少し驚いただけです。」



「本当ですか?」



私は上目遣いで王子に訊ねる。




「も、もちろんですよ。」





少し動揺気味の王子を見た私は『怪しいなぁ』と思いながらも、追及はしなかった。




というか、心なしか顔が赤いような…。




「王子、お暑いでしょうか?お顔が少し赤いようにも見えます。」



「い、いや、大丈夫です。
お気遣いありがとう。」




そうは言っているものの、やはり首もとが汗ばんでいるような…







(私に遠慮しているのかしら)





少し申し訳ない気持ちになり俯くと、
私はハッ、と大事なことを思い出した。





忘れていたけれど、今日は王子の誕生日を祝うために開かれたパーティー。
当の本人がこんな所に居て良いのか____












「あの、王子…!」











そう言って顔を上げようとした時だった___






























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