シンデレラは何ルート?《王子or魔法使い》
「い、いえ、なんでもないです…。」
私は慌ててごまかした。
(いきなり笑い出したりして変な奴って思われたかな…?)
少し不安に思っていると
「くすっ…」
と、笑い声が聞こえた。
それは紛れもなく、今私の体を包んでいる王子の笑い声で。
「ふふ、あなたは思っていることが顔にすぐ出るみたいですね。」
「え!?」
「とても純粋で、可愛らしいお方だ。」
「~~っ!!!!」
そんな顔、反則だ。
『可愛いのは、あなたですよ。』
そんな風に言いたくなるほど、楽しそうに笑う王子の姿が私をキュンとさせた。
(なんなのなんなの可愛すぎ私を殺す気ですかもううわぁぁぁぁ)
一人心の中で悶えていると
こほん、と王子が咳払いをした。
「あなたが舞踏会のことで心配する気持ちもわかります。だから…」
ふわっ
「一緒に舞踏会へ行きましょう。」
軽々と私を持ち上げ、王子は先ほどと同じように笑顔でそう言った。
人生で初めてのお姫さま抱っこに、私は緊張と恥ずかしさで何も言えず、ただ俯いていた。