シンデレラは何ルート?《王子or魔法使い》







「い、いえ、なんでもないです…。」


私は慌ててごまかした。



(いきなり笑い出したりして変な奴って思われたかな…?)



少し不安に思っていると


「くすっ…」


と、笑い声が聞こえた。



それは紛れもなく、今私の体を包んでいる王子の笑い声で。




「ふふ、あなたは思っていることが顔にすぐ出るみたいですね。」


「え!?」


「とても純粋で、可愛らしいお方だ。」


「~~っ!!!!」




そんな顔、反則だ。



『可愛いのは、あなたですよ。』



そんな風に言いたくなるほど、楽しそうに笑う王子の姿が私をキュンとさせた。





(なんなのなんなの可愛すぎ私を殺す気ですかもううわぁぁぁぁ)






一人心の中で悶えていると
こほん、と王子が咳払いをした。





「あなたが舞踏会のことで心配する気持ちもわかります。だから…」







ふわっ






「一緒に舞踏会へ行きましょう。」




軽々と私を持ち上げ、王子は先ほどと同じように笑顔でそう言った。




人生で初めてのお姫さま抱っこに、私は緊張と恥ずかしさで何も言えず、ただ俯いていた。







< 20 / 37 >

この作品をシェア

pagetop