シンデレラは何ルート?《王子or魔法使い》
数十分前に見た、豪華でとても大きな扉が目の前にある。
もちろん変わらず扉の向こうは舞踏会が行われていて。
ただ1つ違うことは、今私の隣に探し求めていた『王子様』が居るということ。
……何故こんなことになっているのだろうか。
確かに『あの男の子かもしれない王子様』と会いたい、なんて願っていたのは私だけれど。
こうもうまくいくなんて思っていなかったから。
今の状況がまだ夢なんじゃないか、と疑ってしまうくらい信じられない。
「ふぅ……。」
私がひと息つくと、王子が私の方に体を向け、ひざまずいた。
「っうぇ!?」
私は驚きのあまり叫んでしまった。
どうしてこうも色気がないんだろう……自己嫌悪に陥っていると、王子が私に手を差し出してきた。
「先程は有無を聞かずここまで連れてきてしまい、申し訳ありません。
ですが、私はあなたと踊りたい。
私のわがままを聞いてくれませんか?」
…私なんかで良いのか、とか不安に思うことは沢山あったはずなのに、真剣に私を見つめる瞳がそれらを吹き飛ばした。
「喜んで…。」
この一言を発するのが精一杯で。
震えていたし、普通なら聞き取れないくらいのか細い声だった。
でも王子は私のその小さな勇気をしっかりと受け取ってくれた。
「嬉しいです。
是非、素敵な夜を共に。」
そう言って私の手を引き、
舞踏会への扉を開けた_______