シンデレラは何ルート?《王子or魔法使い》
舞踏会が行われている一室の扉が目の前にある。
ここはいつもパーティーに使われている部屋で、僕も馴染みがある。
ただ1つだけいつもと違うことは、隣に愛しい『女性』がいること。
……何故こんなことになっているのだろうか。
ただの誕生日パーティー。
見つける気の無いお妃探し。
そんな風に思っていたはずなのに。
まさか自分自身が、女性に惚れこむなんて。
逢って間もない、何も知らない、それなのに、
彼女を僕の妃に迎えたい_______
いつの間にか、そう思っていた。
「ふぅ……。」
彼女がひと息つくと、僕は彼女の方に体を向け、ひざまずいた。
「っうぇ!?」
「先程は有無を聞かずここまで連れてきてしまい、申し訳ありません。
ですが、私はあなたと踊りたい。
私のわがままを聞いてくれませんか?」
彼女を見つめ、真剣な気持ちを伝えた。
「喜んで…。」
この一言を発するのがきっと精一杯だったんだろう。
震えていたし、普通なら聞き取れないくらいのか細い声だった。
でも僕はその小さな勇気をしっかりと受け取り
「嬉しいです。
是非、素敵な夜を共に。」
そう言って彼女の手を引いて
舞踏会への扉を開けた_______