シンデレラは何ルート?《王子or魔法使い》
王様の私への優しい心遣いに少しだけ心が温まった。
「私の名前は…シンデレラ…と申します。」
「そうか。
はじめまして、シンデレラ。」
ふっと笑う王様の表情はとても優しくて。
ついさっきまでの恐怖と不安が消し去られた気がした。
「クリフ。」
「はい。」
「この子が、良いのか。」
「はい。」
「…もう決めたんだな?」
「はい。」
「ならば、私は何も言わぬ。
お前が選んだ相手だ。間違いはない。」
「父上!!!」
「国王!?」
王子と王妃様の声が同時に発せられる。
「国王。お言葉ですが、私は…」
「テレサ。」
王妃様の言葉を遮るように、王様は名前を呼んだ。
「……っ。」
王妃様は言いかけた言葉を飲み込むと、ばつが悪そうな顔で私を睨んだ。
(私の意思に関係なく事が進んでるような…)
「シンデレラ。」
「は、はい!」
「クリフの…我が息子の妃になってくれるのか?」
「え…。」
その場にいる全員の視線が私に集まる。
沈黙が続く。
(ど、どうしたら…)
「父上。」
重い沈黙を破ったのはクリフ王子だった。