シンデレラは何ルート?《王子or魔法使い》










王様の私への優しい心遣いに少しだけ心が温まった。





「私の名前は…シンデレラ…と申します。」





「そうか。
はじめまして、シンデレラ。」




ふっと笑う王様の表情はとても優しくて。






ついさっきまでの恐怖と不安が消し去られた気がした。








「クリフ。」



「はい。」



「この子が、良いのか。」



「はい。」



「…もう決めたんだな?」



「はい。」



「ならば、私は何も言わぬ。
お前が選んだ相手だ。間違いはない。」




「父上!!!」

「国王!?」



王子と王妃様の声が同時に発せられる。




「国王。お言葉ですが、私は…」


「テレサ。」



王妃様の言葉を遮るように、王様は名前を呼んだ。




「……っ。」





王妃様は言いかけた言葉を飲み込むと、ばつが悪そうな顔で私を睨んだ。







(私の意思に関係なく事が進んでるような…)







「シンデレラ。」



「は、はい!」



「クリフの…我が息子の妃になってくれるのか?」



「え…。」





その場にいる全員の視線が私に集まる。




沈黙が続く。






(ど、どうしたら…)








「父上。」








重い沈黙を破ったのはクリフ王子だった。







< 33 / 37 >

この作品をシェア

pagetop