シンデレラは何ルート?《王子or魔法使い》
「そんな覚えは全くないなぁ。」
悪気無いその一言が、私の心に深く突き刺さった。
調子にのって期待してしまった自分が恥ずかしい。
だが、これできっと王子があの男の子であることは確定だろう。
私が一人で自己完結させている時に、アルファはまた話し始めた。
「君の聞きたいことはそれだけみたいだし、話を再開させるよ。
じゃあ、二つ目と三つ目の質問。『どうやってこの部屋に入ったのか、さっきの光は何だったのか』だよね。」
「うん。」
「答えは簡単。僕は魔法使いだからさ。」
「はっ?」
私は気の抜けた声を出していた。
「だから、僕は『魔法使い』なの。」
爽やかな顔で、平然とそう言うアルファ。
信じられなかった。
…いや寧ろそこであぁ、そうなんですか、なんて言う人がいるわけない。
私は思っていることが顔に出てしまっていたのか、アルファは少し怒ったように
「これを見たら君も絶対に信じるはずだよ!」
と言いながら、何かを唱え始めた。
カッ
すると私は光に包まれたかと思うと、一瞬にして綺麗なドレスを身にまとっていた。
「え…!?」
自分の姿を凝視して驚いている私を見たアルファは、とても満足そうな顔をしている。
「これで信じてくれた?」
ニコッと笑う彼に対して、私は開いた口が塞がらなかった。
「まぁびっくりするのも無理ないか。」
やれやれ、といった表情で溜め息をついたが、その表情はまたすぐに笑顔になった。
「さぁ、ここからが本題だよ。
僕がここにきた目的は何か。」
「…?」
「それは君を舞踏会へ連れて行ってあげるためさ!」
アルファは楽しそうに言う。
「…え?舞踏会に?」
どうしても行きたかった舞踏会。
もう無理だと、諦めかけていたのに。
「そうさ。君は行きたいんだろう?
その願い、叶えてあげるよ。」
「ほ、本当に?本当に行けるの?」
私は自然と声のトーンが上がっていた。
「あぁ、もちろんさ。僕の魔法でね。
かぼちゃを一個、ハツカネズミを六匹、灰色ネズミを一匹用意してくれないかい?」
「わかったわ。」
すぐに家の中を探しに行った。