糸を切られたマリオネット


そして、いつものように
右手の人指し指と中指で私の頬を撫でて


「…すみませんね、口下手で」なんて言うから

「あはっ」と思わず笑ってしまった




「―その顔、たまらなく好きです」

「渋谷さんのせいですよ」


「そうですね」



―いつの日かした会話と同じ




だけど、あの時とは違うのは



「あなたは僕の恋人ですからね」




そして

「抱きますよ?」と

いつもの口調でキスをしたから




「……ただいま」と呟いた








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