Dear you
真夏の汗ばむ日中。
それでも手は繋いだまま2人で歩く。
『聞いてもいい?』
「なぁに?」
『どうしてママとはぐれたの?』
「……私のこと、嫌いにならない?」
『ならないよ』
その優しい眼差しに、声に、また安心を
覚えて私はゆっくりと言葉を紡いだ。
「…ママと一緒に公園行って遊んでたの。じゃあママが飲み物買ってくるね、って…だから1人で遠くに行っちゃダメよって」
『うん、それで?』
「で、でもね…ネコがいたの…っ。ネコ
可愛くて…、私ママとお約束したのに…
1人でネコ追いかけ…たら…っ」
『迷子になっちゃったんだ』
「どうしようお兄ちゃん…っ、もうママに会えない…?お約束破った悪い子だから…ママに嫌われちゃった?…うぁあん…!」
止まったはずの涙はまた溢れる。
悲しくて、悲しくて。ママに嫌われたら、もういらないって言われたら…っ
そう考えると余計に涙は止まらなかった。
『ママとのお約束破っちゃったのは
いけないことだね』
「うぅぅ〜…っ」
やっぱり…私は悪い子だから…っ
もうママに会え……、
『でもね』
「っ、」
『悪いことしたら謝ればいいんだよ。
ママにちゃんとごめんなさいって』
「でも…っ、ママがダメって言ったら…」
『君のママは謝ってもダメって言うような意地悪なママなの?』
ちがう…ちがうよ…。
だって私のママはすごく優しくて、
いつも私のこと大好きって言ってくれて。
「意地悪じゃないよ…、だって私のママ
だもん〜〜!!」
うぁーーん!!とさっきよりも大きな声で泣いた。でもお兄ちゃんが私の頭をずっとよしよしって撫でてくれて。
だから、泣いてもいいんだよって言って
くれてるような気がした私は涙が止まる
まで泣き続けた。