Dear you
『ほら、可愛い女の子がいつまでも泣いていたらもったいないよ?』
「うう…っ」
『俺は君の笑った顔が好きだなぁ』
「っ…な、泣かない…!」
お兄ちゃんの“好き”って一言が、
私の勇気になった。強さになった。
だから涙を必死に堪えてぐっと上を向く。
『うん、いい子だね』
お兄ちゃんが笑った。
嬉しくて私も自然に笑っていた。
『じゃあ、泣き止んだご褒美にアイスを
買ってあげよう!』
「ほんと!?やったぁ!」
またお兄ちゃんに手を繋いでもらって、
少し先にあるアイス屋さんでアイスを
買ってもらった。
お兄ちゃんはチョコで私はストロベリー。手は繋げないから2人で座って食べた。
「お兄ちゃん、聞いてもいい?」
『いいよ』
「お兄ちゃんは、
——————…好きな人はいるの?」
『………いるよ』
優しいお兄ちゃんの顔が、
もっともっと優しいそれになった。