17歳─恋のはじまり─
ブツブツ話す千紗を見て
瑛司がポケットの中で

グッと拳を握りしめた。



「…もう、やめたら?」

「ん?」

「よく知りもしない奴と付き合うから、そうなんだよ」

「…そ、そうだけど」



千紗が彼氏を作るたび
嫉妬に駆られて。

千紗が彼氏と別れるたび
胸が痛む。


────何で、

俺を見てくれない?



「っ」

「……瑛司?」


立ち止まったままの瑛司に
千紗が顔を覗き込んだ。

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