17歳─恋のはじまり─
「な、んだよ…これ」

「俺が渡したら、千紗は絶対受け取らない…」

「何言って、んだよ」



そんな、先が見えないような
言い方すんなよ…

そんな、死ぬ準備みたいなこと
してんじゃねぇよ…


なかなか受け取らない佐々木に
瑛司が酸素マスクを外して、

ゆっくり起き上がった。


「頼むから、」

「……」

「お前にしか出来ないだろ」

「ふざけんなっ。こんなもの受け取れるか」

「俺には、時間がないんだよっ」


息を乱しながら
俺を見るコイツに、

俺はグッと拳を握って。


ゆっくりとそれに手を
伸ばした。


「…はぁ、さんきゅ…」


受け取った佐々木に
瑛司がホッとしたように

バタッとベッドに横になる。


酸素マスクを口元に
当てて、

息を整えた。

< 203 / 302 >

この作品をシェア

pagetop