TRIGGER!
「やめといた方がいいですよ、彩香さん」
彩香の渾身の攻撃も、風間は右手で軽く止めている。
もう我慢出来ず、彩香は怒鳴る。
「何なんだよこのマンションはぁっ!? どいつもこいつもバカにしやがってぇぇぇぇ!!」
更にジョージに飛び掛ろうとする彩香の腹を、風間は抱えて。
片手で荷物を持ち上げられた風な体勢になっている。
それを見て、ジョージは大笑いして。
「やっぱおもしれぇなぁ! ここに住むだけあるぜ。彩香ちゃんって言うんだな、ま、仲良くやろうぜ」
「うるせぇこの大木!!」
まだギャーギャーと怒鳴っているが、風間はそのまま彩香を501号室に運んで行く。
部屋の鍵を開けてリビングの床に放り出されても、彩香は手近にあったクッションに八つ当たりしている。
「何なんだ、この、マンション、はっ!!」
一言ずつ、バシバシとクッションを叩いて。
風間はそ知らぬ顔で、リビングのカーテンと窓を開けた。
「お忘れですか?」
「何がだよっ!!」
「ここの住人とは仲良く、というのが条件だった筈です」
「出来るか! あんな奴等にっ!!」
まだバシバシとクッションを叩いている彩香に、風間はため息をついて。
「やっぱりここまて送って来て正解でしたね。彩香さん一人じゃ、どんな事になってたか分からない」
彩香はそんな風間の言葉など聞いてはおらず、ビールねぇのかビール、とか言いながらリビングの隣に備え付けてあるキッチンの冷蔵庫を漁る。
そこには、一本だけ、缶ビールが入っていた。
彩香の好きな銘柄だが、缶にメモが貼ってある。
《お祝い 峯口陽介♡》
と、書かれていて。
彩香はくぅぅぅっと歯軋りしながら即座にメモをグシャグシャにして、ゴミ箱に捨てた。
そしてプルトップを引くと、一気にビールを煽る。
ひと呼吸ついたところで、彩香はリビングを見渡した。
まともに生きていれば、23の小娘などには絶対に住めないような部屋だ。
ざっと20畳以上はあろうかというリビング。
ふかふかの毛足の長い絨毯の上には、銀色の四脚に彫刻風のモチーフが付いたガラステーブル。
それを囲むソファも革張りで、壁際には大きなテレビ。
絨毯もカーテンもモノトーンで統一されていて、お洒落にまとまっていた。
彩香は缶ビールを片手に、部屋の中を歩いて回る。
お風呂は広いし、寝室のベッドはクイーンサイズで、クローゼットも、この部屋だけでも生活出来るかもってほど広い。
「気に入りましたか?」
「・・・・・・」
リビングに戻ると風間にそう聞かれたが、彩香は黙ってソファにどかっと座った。
「全て社長の見立てです」
「どーでもいいけどさ、ビールもっとないの? あと灰皿」
「では、そろそろ帰りますが」
彩香の言葉を完璧に無視して、風間は玄関に向かう。
そうそう、と、途中で振り返り。
「後は四階に一人、六階に一人の住人がいますが・・・まぁその方々には、挨拶は要りませんのて」
「どうせまたロクでもない奴なんだろ」
ソファの背もたれに深く寄り掛かり、彩香は言った。
風間は頷く。
彩香の渾身の攻撃も、風間は右手で軽く止めている。
もう我慢出来ず、彩香は怒鳴る。
「何なんだよこのマンションはぁっ!? どいつもこいつもバカにしやがってぇぇぇぇ!!」
更にジョージに飛び掛ろうとする彩香の腹を、風間は抱えて。
片手で荷物を持ち上げられた風な体勢になっている。
それを見て、ジョージは大笑いして。
「やっぱおもしれぇなぁ! ここに住むだけあるぜ。彩香ちゃんって言うんだな、ま、仲良くやろうぜ」
「うるせぇこの大木!!」
まだギャーギャーと怒鳴っているが、風間はそのまま彩香を501号室に運んで行く。
部屋の鍵を開けてリビングの床に放り出されても、彩香は手近にあったクッションに八つ当たりしている。
「何なんだ、この、マンション、はっ!!」
一言ずつ、バシバシとクッションを叩いて。
風間はそ知らぬ顔で、リビングのカーテンと窓を開けた。
「お忘れですか?」
「何がだよっ!!」
「ここの住人とは仲良く、というのが条件だった筈です」
「出来るか! あんな奴等にっ!!」
まだバシバシとクッションを叩いている彩香に、風間はため息をついて。
「やっぱりここまて送って来て正解でしたね。彩香さん一人じゃ、どんな事になってたか分からない」
彩香はそんな風間の言葉など聞いてはおらず、ビールねぇのかビール、とか言いながらリビングの隣に備え付けてあるキッチンの冷蔵庫を漁る。
そこには、一本だけ、缶ビールが入っていた。
彩香の好きな銘柄だが、缶にメモが貼ってある。
《お祝い 峯口陽介♡》
と、書かれていて。
彩香はくぅぅぅっと歯軋りしながら即座にメモをグシャグシャにして、ゴミ箱に捨てた。
そしてプルトップを引くと、一気にビールを煽る。
ひと呼吸ついたところで、彩香はリビングを見渡した。
まともに生きていれば、23の小娘などには絶対に住めないような部屋だ。
ざっと20畳以上はあろうかというリビング。
ふかふかの毛足の長い絨毯の上には、銀色の四脚に彫刻風のモチーフが付いたガラステーブル。
それを囲むソファも革張りで、壁際には大きなテレビ。
絨毯もカーテンもモノトーンで統一されていて、お洒落にまとまっていた。
彩香は缶ビールを片手に、部屋の中を歩いて回る。
お風呂は広いし、寝室のベッドはクイーンサイズで、クローゼットも、この部屋だけでも生活出来るかもってほど広い。
「気に入りましたか?」
「・・・・・・」
リビングに戻ると風間にそう聞かれたが、彩香は黙ってソファにどかっと座った。
「全て社長の見立てです」
「どーでもいいけどさ、ビールもっとないの? あと灰皿」
「では、そろそろ帰りますが」
彩香の言葉を完璧に無視して、風間は玄関に向かう。
そうそう、と、途中で振り返り。
「後は四階に一人、六階に一人の住人がいますが・・・まぁその方々には、挨拶は要りませんのて」
「どうせまたロクでもない奴なんだろ」
ソファの背もたれに深く寄り掛かり、彩香は言った。
風間は頷く。