TRIGGER!
「無理よぉ、この店で静かに飲もうなんて」
言った途端、後ろの客が取っ組み合いを始めた。
ビクッとして振り返ると、オカマちゃん達は止めるどころか、口笛を吹いて煽っている。
「ま、ここはお前好みの楽しい店だぜ? 飲めよ、引っ越し祝いに奢ってやる」
いつの間にかジョージが隣に立っていた。
片手にウイスキーのボトルを持ち、こっちに差し出して。
だが彩香はそっぽを向いた。
「いらねぇよ」
「そう言うなって。心配すんな、これもここで一番安い酒だ」
「あらやだジョージ、上等なのもちゃんと置いてあるのよ?」
カウンターの中で、桜子が言い返す。
ジョージはがははと笑って。
「そりゃ悪かったな。ほら彩香、お近付きの印だ」
「誰もテメェとお近付きになりたいなんて思っちゃいねぇし、酒を貰う義理もねぇよ。しかも馴れ馴れしく呼び捨てにするんじゃねぇ」
そう言って、彩香はジョージに背を向ける。
ジョージはそんな彩香を、不思議そうに見つめて。
「もしかして・・・照れてるのか?」
「誰がだよ!」
「違うか・・・じゃ、飲まないんじゃなくて飲めない、とか?」
立ち上がりかけた彩香は、ため息をついてカウンターの椅子に座りなおす。
「バカかテメェは。子供じゃねぇんだ、そんな挑発に乗るかよ」
心底うんざりした様子で、彩香がグラスを口に運ぼうとした、その時。
ケンカをしていたうちの一人が、殴られた拍子に彩香の背中にぶつかった。
彩香はそのまま、グラスをカウンターにコトリと置いて。
「・・・上等じゃ・・・」
顔中ウイスキーだらけの彩香のこめかみが、ピクッと痙攣する。
「ねぇかぁぁぁー!!」
ガタン、と椅子から飛び降りると、彩香はケンカの中に突っ込んで行った。
それを苦笑しながら見つめる桜子とジョージ。
「あれじゃ、陽介ちゃんじゃなくても拾いたくなるわねぇ、この街じゃ」
「だろ? おもしれぇ奴だよな」
「でも」
言いながら、桜子はウイスキーで濡れたカウンターを拭く。
「これからよね。いくらあの子があぁでも、素人なんでしょ? 耐えられるかしら・・・」
心配そうに言う桜子に、ジョージは少しだけ目を伏せた。
「まぁな。だがここまで来たら、もう戻れねぇ。後は、生き延びれなかったら死ぬだけの事だ」
「あんまり捻りがないわね、ジョージ」
「いいだろ、単純明快で」
いつの間にか、関係ない客やオカマちゃん達まで入り交じり、店の中は大乱闘になっている。
そんな中でも、何故か楽しそうに生き生きと動く彩香。
ジョージは笑ってカウンターに座り直すと、ボトルからウイスキーを注いだ。
言った途端、後ろの客が取っ組み合いを始めた。
ビクッとして振り返ると、オカマちゃん達は止めるどころか、口笛を吹いて煽っている。
「ま、ここはお前好みの楽しい店だぜ? 飲めよ、引っ越し祝いに奢ってやる」
いつの間にかジョージが隣に立っていた。
片手にウイスキーのボトルを持ち、こっちに差し出して。
だが彩香はそっぽを向いた。
「いらねぇよ」
「そう言うなって。心配すんな、これもここで一番安い酒だ」
「あらやだジョージ、上等なのもちゃんと置いてあるのよ?」
カウンターの中で、桜子が言い返す。
ジョージはがははと笑って。
「そりゃ悪かったな。ほら彩香、お近付きの印だ」
「誰もテメェとお近付きになりたいなんて思っちゃいねぇし、酒を貰う義理もねぇよ。しかも馴れ馴れしく呼び捨てにするんじゃねぇ」
そう言って、彩香はジョージに背を向ける。
ジョージはそんな彩香を、不思議そうに見つめて。
「もしかして・・・照れてるのか?」
「誰がだよ!」
「違うか・・・じゃ、飲まないんじゃなくて飲めない、とか?」
立ち上がりかけた彩香は、ため息をついてカウンターの椅子に座りなおす。
「バカかテメェは。子供じゃねぇんだ、そんな挑発に乗るかよ」
心底うんざりした様子で、彩香がグラスを口に運ぼうとした、その時。
ケンカをしていたうちの一人が、殴られた拍子に彩香の背中にぶつかった。
彩香はそのまま、グラスをカウンターにコトリと置いて。
「・・・上等じゃ・・・」
顔中ウイスキーだらけの彩香のこめかみが、ピクッと痙攣する。
「ねぇかぁぁぁー!!」
ガタン、と椅子から飛び降りると、彩香はケンカの中に突っ込んで行った。
それを苦笑しながら見つめる桜子とジョージ。
「あれじゃ、陽介ちゃんじゃなくても拾いたくなるわねぇ、この街じゃ」
「だろ? おもしれぇ奴だよな」
「でも」
言いながら、桜子はウイスキーで濡れたカウンターを拭く。
「これからよね。いくらあの子があぁでも、素人なんでしょ? 耐えられるかしら・・・」
心配そうに言う桜子に、ジョージは少しだけ目を伏せた。
「まぁな。だがここまで来たら、もう戻れねぇ。後は、生き延びれなかったら死ぬだけの事だ」
「あんまり捻りがないわね、ジョージ」
「いいだろ、単純明快で」
いつの間にか、関係ない客やオカマちゃん達まで入り交じり、店の中は大乱闘になっている。
そんな中でも、何故か楽しそうに生き生きと動く彩香。
ジョージは笑ってカウンターに座り直すと、ボトルからウイスキーを注いだ。