TRIGGER!
エレベーターは屋上で止まり、三人は外に続くドアを開けた。
彩香は初めて来た屋上を見渡すが、何の変哲もない、何処にでもある光景だ。
風間もジョージも景色を眺めるでもなく、そこに立っているだけだ。
「ねぇ、こんな所に何か用事、あんの?」
仕事だと言っていた割には、ここには何もない。
黙っている風間とジョージに痺れを切らしたように、彩香が言う。
「二人してからかってるんじゃねぇよ。今日は『AGORA』で、ボトル争奪戦があるんだよ。何もないなら帰るよ?」
ボトル争奪戦というのは、桜子ママが気まぐれで始める、ボトルを掛けた一騎討ちの事だ。
くじ引きで決まった対戦相手と勝負する。
その方法は自由。
ジャンケン、あみだくじ、腕相撲、殴り合い。
トーナメント方式で、優勝者には好きなボトルが一本貰えるという。
初参加だから、彩香は楽しみにしていたというのに。
「で、今回は何処だ?」
ジョージは風間に聞いた。
「H市。そこで待っている女を連れて、ここに戻って来る」
「H市か・・・ちと遠いな。車で1時間半かかる。おい彩香、ボトル争奪戦は間に合わないらしいぜ。今回は諦めろ」
チッ、と、彩香は舌打ちする。
特上のウイスキーボトル、本気で狙っていたのに。
悔しがる間もなく、行くぞ、とジョージは何故か非常階段を降り始めた。
風間も後に続く。
もう何も聞く気にもならず、彩香はポケットに手を突っ込んだまま、仏頂面で同じように非常階段を降りた。
そしてマンションの前の道に出ると、三人は風間の車に乗り込む。
黒塗りの、誰が見ても高級車だ。
もうすっかり暗くなり、繁華街はネオンがきらびやかに瞬いている。
行き交う人達も行き付けの可愛いお姉ちゃんのいる店に向かっているのか、みんな楽しそうだ。
いつもと変わらない風景。
だが彩香は、何処か違和感を感じていた。
それが何なのかは、はっきり分からなかったが。
彩香は初めて来た屋上を見渡すが、何の変哲もない、何処にでもある光景だ。
風間もジョージも景色を眺めるでもなく、そこに立っているだけだ。
「ねぇ、こんな所に何か用事、あんの?」
仕事だと言っていた割には、ここには何もない。
黙っている風間とジョージに痺れを切らしたように、彩香が言う。
「二人してからかってるんじゃねぇよ。今日は『AGORA』で、ボトル争奪戦があるんだよ。何もないなら帰るよ?」
ボトル争奪戦というのは、桜子ママが気まぐれで始める、ボトルを掛けた一騎討ちの事だ。
くじ引きで決まった対戦相手と勝負する。
その方法は自由。
ジャンケン、あみだくじ、腕相撲、殴り合い。
トーナメント方式で、優勝者には好きなボトルが一本貰えるという。
初参加だから、彩香は楽しみにしていたというのに。
「で、今回は何処だ?」
ジョージは風間に聞いた。
「H市。そこで待っている女を連れて、ここに戻って来る」
「H市か・・・ちと遠いな。車で1時間半かかる。おい彩香、ボトル争奪戦は間に合わないらしいぜ。今回は諦めろ」
チッ、と、彩香は舌打ちする。
特上のウイスキーボトル、本気で狙っていたのに。
悔しがる間もなく、行くぞ、とジョージは何故か非常階段を降り始めた。
風間も後に続く。
もう何も聞く気にもならず、彩香はポケットに手を突っ込んだまま、仏頂面で同じように非常階段を降りた。
そしてマンションの前の道に出ると、三人は風間の車に乗り込む。
黒塗りの、誰が見ても高級車だ。
もうすっかり暗くなり、繁華街はネオンがきらびやかに瞬いている。
行き交う人達も行き付けの可愛いお姉ちゃんのいる店に向かっているのか、みんな楽しそうだ。
いつもと変わらない風景。
だが彩香は、何処か違和感を感じていた。
それが何なのかは、はっきり分からなかったが。