TRIGGER!
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「もう5日だよ!」
峯口建設の本社ビル、最上階の社長室。
その社長のデスクをバン! と叩いて、彩香は言った。
方や、椅子の上に肩膝を立て、左手は頬杖をついて右手はパソコンのキーボードを叩き、口にはくわえタバコの社長・峯口。
コイツの何処がエライんだ、と、彩香は本気で思う。
「そうかー、そんなに寂しいのかー。ホントは寂しがり屋だったんだ?」
「本気で一発ぶん殴らせろ」
出来る事なら、ホントにドツキたかった。
それでも峯口は、パソコンから目を離さない。
タバコの灰が落ちそうになっているが、パソコンのキーボードに落ちたところで彩香には何の関係もない。
「彩香。寂しいからってオジサンに遊んで貰おうなんて思うなよ? これでもオジサン、結構忙しいんだぜ?」
喋った拍子に、灰が落ちた。
・・・惜しい、キーボードのすぐ手前だ。
「いいよなぁ、社員はこの暑い中汗水たらして働いてるってのに、社長は一日中涼しい部屋で座ってパソコンかよ」
悔し紛れに、嫌味の一つでも言いたくなる。
そこで初めて、峯口は目の前に立つ彩香を見上げた。
「何だよ、労働意欲でも湧いて来たのか?」
「てんめェ・・・」
「ま、冗談だよ。お前からかうの、丁度いいストレス発散法だな」
もう一度怒鳴りつけてやろうかと思ったが、時間の無駄なので止めた。
彩香はこのムカつく社長のデスクから離れ、ソファにどっかりと腰を下ろすとタバコに火をつけた。
「で、何しに来た、彩香?」
峯口はパソコンを閉じて、改めて彩香に聞いた。
そうやって面と向かって聞かれると、答えたくなくなるのが彩香である。
「今回の仕事は長丁場になるのは分かってる事だ。ジョージもそれは承知の上での仕事だ。そして、五日と言っても・・・タイムリミットまでまだ二日もある。で、お前は何をしに来たんだ?」
彩香自身、何で今ここに居るのか、よくよく考えると分からない。
ただ、ここに来なくてはいけないような衝動に駆られて。
それはどうしてか?
ジョージが心配だからなのか。
そんな訳ない。
この自分が、他人の心配?
冗談じゃない。
彩香が黙っていると、峯口はくくくっと喉の奥で笑った。
「ま、丁度いい。仕事だ、彩香」
彩香は顔を上げる。
「仕事?」
「あぁそうだよ」
峯口は立ち上がると、スーツの上着を肩に引っ掛けた。
「どんな仕事だよ?」
彩香もつられて立ち上がり、峯口に聞いた。
峯口は内線で車を回すように言い、彩香を促す。
「ついて来りゃ分かる。行くぞ」
真剣に言う峯口に、彩香は神妙な面持ちで頷いた。
「もう5日だよ!」
峯口建設の本社ビル、最上階の社長室。
その社長のデスクをバン! と叩いて、彩香は言った。
方や、椅子の上に肩膝を立て、左手は頬杖をついて右手はパソコンのキーボードを叩き、口にはくわえタバコの社長・峯口。
コイツの何処がエライんだ、と、彩香は本気で思う。
「そうかー、そんなに寂しいのかー。ホントは寂しがり屋だったんだ?」
「本気で一発ぶん殴らせろ」
出来る事なら、ホントにドツキたかった。
それでも峯口は、パソコンから目を離さない。
タバコの灰が落ちそうになっているが、パソコンのキーボードに落ちたところで彩香には何の関係もない。
「彩香。寂しいからってオジサンに遊んで貰おうなんて思うなよ? これでもオジサン、結構忙しいんだぜ?」
喋った拍子に、灰が落ちた。
・・・惜しい、キーボードのすぐ手前だ。
「いいよなぁ、社員はこの暑い中汗水たらして働いてるってのに、社長は一日中涼しい部屋で座ってパソコンかよ」
悔し紛れに、嫌味の一つでも言いたくなる。
そこで初めて、峯口は目の前に立つ彩香を見上げた。
「何だよ、労働意欲でも湧いて来たのか?」
「てんめェ・・・」
「ま、冗談だよ。お前からかうの、丁度いいストレス発散法だな」
もう一度怒鳴りつけてやろうかと思ったが、時間の無駄なので止めた。
彩香はこのムカつく社長のデスクから離れ、ソファにどっかりと腰を下ろすとタバコに火をつけた。
「で、何しに来た、彩香?」
峯口はパソコンを閉じて、改めて彩香に聞いた。
そうやって面と向かって聞かれると、答えたくなくなるのが彩香である。
「今回の仕事は長丁場になるのは分かってる事だ。ジョージもそれは承知の上での仕事だ。そして、五日と言っても・・・タイムリミットまでまだ二日もある。で、お前は何をしに来たんだ?」
彩香自身、何で今ここに居るのか、よくよく考えると分からない。
ただ、ここに来なくてはいけないような衝動に駆られて。
それはどうしてか?
ジョージが心配だからなのか。
そんな訳ない。
この自分が、他人の心配?
冗談じゃない。
彩香が黙っていると、峯口はくくくっと喉の奥で笑った。
「ま、丁度いい。仕事だ、彩香」
彩香は顔を上げる。
「仕事?」
「あぁそうだよ」
峯口は立ち上がると、スーツの上着を肩に引っ掛けた。
「どんな仕事だよ?」
彩香もつられて立ち上がり、峯口に聞いた。
峯口は内線で車を回すように言い、彩香を促す。
「ついて来りゃ分かる。行くぞ」
真剣に言う峯口に、彩香は神妙な面持ちで頷いた。