TRIGGER!
「ジョージは今回の仕事で、一旦新幹線に乗りました。だから駅にいる可能性は高い」
「どうしてそれが分かる?」
「それだけしか分からないんですよ。でもそれは極秘事項で、社長と私しか知らない筈。だけど彼女は、駅と告げた。なら・・・当たっている可能性の方が高いんですよ」
「・・・・・・」


 イライラと、彩香はタバコを取り出した。
 その極秘事項が気になる。
 だが峯口も風間も、このことについてまだ彩香に何も言わない。
 そうこうしているうちに、駅に着いた。
 風間は駅前広場の入り口付近に車を停車させる。
 この駅は大きく、何本もの路線と新幹線の停車駅になっている。
 一日に何万人もの人々が利用する駅だ。
 そんなこの駅の光景も、普段と全く変わらないように見えた。
 広場には駅からの路線バスが何台も止まっいて、お客さん待ちのタクシー、一般車両がひしめき合っている。
 駅前も、一体何処から湧いて出たんだというくらいに混雑していて。


「ひとつ、聞いていいか?」


 彩香は灰皿にタバコを押し付けた。


「この雑踏はみんな、こっちが見えてねぇんだろ。でもリアルに歩いてるようにこっちからは見える。どうやって、うちらと同じく“ドア”を通って来た人間を見分けるんだ?」
「簡単な事です」


 風間はそう言ってエンジンを切り、運転席のドアを開けた。


「我々を認識出来る人間、それが敵です」
「・・・分かるかよ」
「慣れですね、結局は」


 はぁぁ、と彩香はため息をついて、車を降りた。
 不思議な事に、この前ジョージが凹ませた車の屋根は直っている。


「修理したのか?」


 それを指さして、彩香は聞いた。


「ここは、物質は全てリアル世界と一緒なんです。壊れたものは、我々が一旦戻って、またこっちに来た時には元通りになってます。現実世界でなにかが起きない限りはね」
「やっぱ便利だよなぁ」


 そんな会話をしながらも、彩香と風間は駅の方へ歩いて行く。
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