TRIGGER!
エレベーターの中に姿を消した彩香を、無表情のまま見送るジョージ。
「それにしても・・・」
ずれたメガネを直しながら、水島はジョージに視線を向けた。
「面白い子ね、あの子」
にっこり笑う水島に、ジョージは俯いて。
「あぁ、そんじょそこらにゃ居ねぇタイプだな」
「あぁいう子、放っておけないでしょ、あなた」
「そうだな・・・」
いててて、と、脇腹を押さえながらジョージは答える。
「屋上に行ったわ」
白衣のポケットからタバコを取り出して、水島は言った。
ついでに、そのタバコをジョージに差し出して。
ありがとな、と、ジョージはタバコを貰う。
「ありがてぇご注進だが、たまにゃ一人にさせとくさ」
煙を吐き出して、ジョージは言った。
「ふふ。もしかして聞いてた?」
「・・・いや。俺は何も」
そっか、と、水島はくるりと回れ右をすると、パソコンの前に戻って行った。
「じゃ、千絵ちゃん。俺も帰るぜ」
カタカタとキーボードを弾き始めた水島に、ジョージは声を掛け。
「うん、怪我したらいつでもどうぞ。頭と胴体が離れてない限り、治してあげる」
「さっすが千絵ちゃんだ。頼もしいよ」
「あっ、そうそう」
エレベーターの方に歩きかけたジョージを振り返り、水島は言う。
「そこの薬、陽介ちゃんに渡しておいてくれる? 改良したから、前のより良くなってる筈だから」
分かったよと言いながら、ジョージは言われた棚に置いてある薬が入った袋を持ち上げた。
人の命を預かる医者が“良くなってる筈”などと・・・笑える話だ。
だが、人体実験の被験者になるのはごめん被りたい。
だからジョージは黙って、袋をポケットの中に入れる。
どうせこれから、あのオヤジに報告に行かなければならないのだから。
今頃きっと屋上でたそがれている彩香を構ってやれないのは残念だが。
ジョージはくわえタバコのまま、エレベーターに乗り込んだ。
「それにしても・・・」
ずれたメガネを直しながら、水島はジョージに視線を向けた。
「面白い子ね、あの子」
にっこり笑う水島に、ジョージは俯いて。
「あぁ、そんじょそこらにゃ居ねぇタイプだな」
「あぁいう子、放っておけないでしょ、あなた」
「そうだな・・・」
いててて、と、脇腹を押さえながらジョージは答える。
「屋上に行ったわ」
白衣のポケットからタバコを取り出して、水島は言った。
ついでに、そのタバコをジョージに差し出して。
ありがとな、と、ジョージはタバコを貰う。
「ありがてぇご注進だが、たまにゃ一人にさせとくさ」
煙を吐き出して、ジョージは言った。
「ふふ。もしかして聞いてた?」
「・・・いや。俺は何も」
そっか、と、水島はくるりと回れ右をすると、パソコンの前に戻って行った。
「じゃ、千絵ちゃん。俺も帰るぜ」
カタカタとキーボードを弾き始めた水島に、ジョージは声を掛け。
「うん、怪我したらいつでもどうぞ。頭と胴体が離れてない限り、治してあげる」
「さっすが千絵ちゃんだ。頼もしいよ」
「あっ、そうそう」
エレベーターの方に歩きかけたジョージを振り返り、水島は言う。
「そこの薬、陽介ちゃんに渡しておいてくれる? 改良したから、前のより良くなってる筈だから」
分かったよと言いながら、ジョージは言われた棚に置いてある薬が入った袋を持ち上げた。
人の命を預かる医者が“良くなってる筈”などと・・・笑える話だ。
だが、人体実験の被験者になるのはごめん被りたい。
だからジョージは黙って、袋をポケットの中に入れる。
どうせこれから、あのオヤジに報告に行かなければならないのだから。
今頃きっと屋上でたそがれている彩香を構ってやれないのは残念だが。
ジョージはくわえタバコのまま、エレベーターに乗り込んだ。