TRIGGER!
 あの二人が喧嘩した原因が、女?
 信じられない。


「あ、そうだわ!」


 パン、と両手を叩き、桜子は喜々として言う。


「彩香ちゃん、あの二人の間に座って慰めてあげ・・・」
「ちょっと他回ってから来るわ」


 桜子が言い終わらないうちに、彩香はくるりと回れ右をして店のドアに向かう。


「ちょっと彩香ちゃん!」


 桜子が慌てて止めようと、カウンターから出て来る。
 構わずに彩香はドアを開け。


「あらぁ~彩香、今日はやたらと早いご出勤ねぇ」


 ゲッ、と、彩香は怯む。
 出勤してきたイチゴ、キウイ、グレープのオカマちゃんトリオだ。
 ここぞとばかりに、桜子が声を掛けた。


「お前達、今日の生け贄・・・逃がすんじゃないわよ!」
「イエッサ~!!!」


 オカマちゃんと言っても元は男、3人がかりで彩香の身体はひょい、と持ち上げられた。


「なっ・・・何すんだテメェらぁああ!」


 抵抗も虚しく、彩香は無理やり開けられた、ジョージと風間の間の席に強引に座らせられて。


「あらヤダ! かーなーりレアよね、このスリーショット!」
「しかも風間ちゃん、相変わらずニヒルな感じがたまらなぁい♪」
「やぁだジョージ、今日は一段と男前ねぇ~」


 なし崩しに、オカマちゃん達に盛り上げられ。
 彩香も仕方無しに、グラスにウイスキーを注ぐ。


「何なんだよ・・・」


 一口飲んで、ため息をついて。
 さっきからこの二人、何も喋らない。


「お前ら・・・何でそんな事になってんだ? 原因は本当に、女なのか?」


 沈黙に耐えかねて、何気なく聞いただけなのに。
 ジョージと風間の身体が、ピクリと動く。
 なんかヤバい事聞いたのか、と、彩香もビクリと身体を強ばらせて。


「おい桜子、ボトル入れてくれ。上等のウイスキーをな」
「こちらにもお願いします」
「はぁい、喜んでー!!」


 彩香が固まっている間に、ジョージと風間は凄い勢いで、ウイスキーを喉に流し込んで行く。


「って・・・おいジョージ、お前さっき手術したばっかだろ!」
「うるせぇよ」
「隼人もさぁ、酒飲めるのか?」
「バカにしないで下さい」


 も、どうにもこうにも。
 助けを求める視線を桜子に送るが、我関せず状態で、お客もいないのにやたらと忙しそうに、カウンターの中で動き回っている。
 キャーキャー言いながら、3人トリオはジョージと風間を煽っていて。


「・・・も・・・どうにでもしてくれ・・・」


 半ば諦めて、彩香も一緒になってウイスキーを煽る。
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