TRIGGER!
「あら、知らなかったの? ジョージは陽介ちゃんの息子よ、生物学上のね」
今度は彩香が沈黙する番だ。
「おい、そんな言い方したら、俺がまるで動物みてぇじゃねぇか」
「お前は充分野生児だよ」
「何だとぉ隼人!!」
「やめなさいよ二人とも。彩香ちゃん、まだ固まってるわよ」
また掴み合いを始めそうになった二人を、桜子がたしなめる。
「だってジョージ・・・確か浜崎って・・・」
「あぁ、母方の姓を名乗ってるんだよ。ついでに言っておくが、俺はあのオヤジとはウマが合わねぇ」
そう言えば、峯口とジョージは何処と無く似ている。
喋り方も、仕草も。
特に彩香をからかう時なんて、そっくりだ。
似ているから、ウマが合わないのか。
それにしても、驚いた。
「我が峯口建設の跡取りがこんなじゃな」
「お前にやるよ、隼人」
あっけらかんとそんな会話を交わすジョージと風間。
「まぁ、色々あるよねぇ」
しみじみと呟いて、彩香はグラスに残ったウイスキーを飲み干した。
「じゃ、あたしはそろそろ帰るよ。当分は仕事、ないんだろ?」
「まぁ、クライアントはまだまだ居ますから・・・子供のお使い程度の仕事なら、近いうちにあると思いますが」
そうか、と彩香は頷いて立ち上がる。
「ま、寂しかったらいつでも俺が添い寝してやるよ」
そう言ったジョージを、風間が睨む。
だがすぐに、彩香の方に向き直り。
「あぁそうだ、彩香さん」
「なに?」
「明日から私も、あのマンションの502号室に引っ越す事になりましたので。これからよろしくお願いします」
「はぁぁぁ!? 俺は聞いてねぇぞ! しかも俺達の真ん中の部屋・・・!」
「言う必要もないと思ったから言わなかったんだよ。仕事上都合がいいしな」
「職権乱用だろうが!」
「どう捉えようが、お前の自由だ」
ぎゃあぎゃあと言い合いをしている二人を尻目に、彩香は軽く桜子に手を上げる。
「じゃあな、また来る」
「お休みなさい。良かったわねぇ、モテモテで」
「考えたくもねぇよ」
深いため息を吐きながら、彩香は『BAR AGORA』を後にした。
今度は彩香が沈黙する番だ。
「おい、そんな言い方したら、俺がまるで動物みてぇじゃねぇか」
「お前は充分野生児だよ」
「何だとぉ隼人!!」
「やめなさいよ二人とも。彩香ちゃん、まだ固まってるわよ」
また掴み合いを始めそうになった二人を、桜子がたしなめる。
「だってジョージ・・・確か浜崎って・・・」
「あぁ、母方の姓を名乗ってるんだよ。ついでに言っておくが、俺はあのオヤジとはウマが合わねぇ」
そう言えば、峯口とジョージは何処と無く似ている。
喋り方も、仕草も。
特に彩香をからかう時なんて、そっくりだ。
似ているから、ウマが合わないのか。
それにしても、驚いた。
「我が峯口建設の跡取りがこんなじゃな」
「お前にやるよ、隼人」
あっけらかんとそんな会話を交わすジョージと風間。
「まぁ、色々あるよねぇ」
しみじみと呟いて、彩香はグラスに残ったウイスキーを飲み干した。
「じゃ、あたしはそろそろ帰るよ。当分は仕事、ないんだろ?」
「まぁ、クライアントはまだまだ居ますから・・・子供のお使い程度の仕事なら、近いうちにあると思いますが」
そうか、と彩香は頷いて立ち上がる。
「ま、寂しかったらいつでも俺が添い寝してやるよ」
そう言ったジョージを、風間が睨む。
だがすぐに、彩香の方に向き直り。
「あぁそうだ、彩香さん」
「なに?」
「明日から私も、あのマンションの502号室に引っ越す事になりましたので。これからよろしくお願いします」
「はぁぁぁ!? 俺は聞いてねぇぞ! しかも俺達の真ん中の部屋・・・!」
「言う必要もないと思ったから言わなかったんだよ。仕事上都合がいいしな」
「職権乱用だろうが!」
「どう捉えようが、お前の自由だ」
ぎゃあぎゃあと言い合いをしている二人を尻目に、彩香は軽く桜子に手を上げる。
「じゃあな、また来る」
「お休みなさい。良かったわねぇ、モテモテで」
「考えたくもねぇよ」
深いため息を吐きながら、彩香は『BAR AGORA』を後にした。