TRIGGER!
☆  ☆  ☆



「えええっ!? 何で車で来ねぇんだよ!」


 風間とジョージの間に挟まって、もうすっかりネオンの消えた朝焼けの繁華街を歩きながら彩香は言った。
 疲れてるのによ、とブツブツ文句を言っている彩香。


「あ、そう言えばさぁ」


 思い出したように、彩香は言う。


「なぁんでお前ら、こっちに来たんだ?」


 率直な疑問を口にしただけなのに、ジョージと風間は歩きながら頭を押さえる。


「帰ったらお前の部屋の電気が点いてなかったんだよ。お前いつも電気つけっぱなしで寝るだろ?」
「ストーカーっぽい発言だな、ジョージ」


 風間のツッコミに、うるせぇ、とジョージは怒鳴る。


「で、考えたんですよ。彩香さんが次に取る行動は、ってね」
「ったくよぉ、後先考えずに突っ込んで行きやがって。鉄砲玉か、お前は」


 アハハハ、と、彩香は笑って誤魔化す。


「でも、下手をすれば本当にこの街に抗争が起きる引き金になる所でしたよ。これからはそういう行動を起こす時は」
「俺達に一言、言えよな彩香」


 風間のセリフを引ったくり、ジョージが言った。
 風間はジョージを軽く睨む。
 彩香は両手をポケットに突っ込みながらそんな二人の言葉を、黙って聞いていた。
 朝の風も、清々しい。
 彩香は、ジョージと風間の肩に手を回した。


「うわっ!?」
「彩香さん!?」


 背の高い二人にぶら下がるような形で、彩香は笑う。


「これからもよろしくな、お二人さん!」


 ジョージも風間も、彩香を支えながら笑っている。
 そんな三人のシルエットは、朝焼けの中に溶け込んで行った――。








【To be continued】→つ・づ・く♡
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