ラジオドラマ
<Wizard>



「はぁ~・・・やっぱり、ダメか・・・。」


 一方、ここは日本某所。


 桜沢悠人宅。


 自分の屋根裏部屋の『神殿』の中で悠人は、大きくため息をついた。


 その姿は全身を漆黒のローブで身にまとい、右手には大きな杖を・・・そして足元にはチョークで書いた、巨大な魔方陣が敷いてある。


 相手が吸血鬼だと知ったとき、正直ラッキーだと思った。


 吸血鬼の倒し方は、ありとあらゆる書物に載っている。


 にんにく、十字架、日光、聖水・・・なんて、お決まりのグッズが揃っている書物もあった。


 その中で悠人は、自分のもっとも得意とする『魂の浄化』という法を試してみたのだが、見事に跳ね返された。


「ジュード・ヴァレンタイン・・・中世の書物にもその名前があることから、生半可なヤツじゃないと思っていたけど、想像以上だよな・・・。」


 思わず、そんな言葉も漏れる。


 何より、過去にあった戦争、魔女狩り、悪魔狩り・・・それらすべてを乗り越えてきたヴァンパイアなのだ。


 その力は計り知れない。


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