ラジオドラマ

「ここから、魔法使いを探すのは、至難の業だな。」


 裏家業に国境はない。


 この国にもある程度のパイプは持っている。


 ・・・・・・・とは言え、相手は魔法使い・・・。


 用心深く、思慮深い。


 情報屋程度で見つかるのなら、苦労はしない。


 ならば、頼れるのは一つしかない。


「まるで、犬だな。」


 思わず、ジュードは苦笑した。


 研ぎ澄まされた五感は、当然嗅覚も発達する。


 吸血鬼がにんにく嫌いと言われる所以。


 鼻が利けば、臭いにんにくはまさに天敵だろう。


 だが・・・・そんな臭いも、この腐った街の臭いに比べたら、花の香りに等しい。


 ・・・・・・・・文明と言う言葉に惑わされ、人間が失ったもの・・・。


 それは、決して少ないはずだ。


「さて・・・では、夜を待って出かけるとするか・・・。」


 ジュードは手近なホテルにチェックインすると、夜を待って、静かに眠りに着く。


 ずる賢く、手段を選ばぬ卑怯者の臭い。


 魔法使いの臭いは、何年たとうと忘れない。


 必ず捕らえて見せよう。


 そして・・・・・・・・。


 ・・・・・・・・・そして・・・・・?


「・・・・・まだ・・・この世界にしがみつくのか・・・俺は・・・。」


 ジュードはベッドに横になりながら、そんな言葉を口にして、静かに眠りに着いた。



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