ラジオドラマ
<Wizard>


“吸血鬼なんて、やめときなさいよ。人間にもっとも近く残忍で狡猾な悪魔よあれは”


 悠人には、魔法使いらしく、『使い魔』がいる。


 カラスのシャーリーがそれである。


 念のため言っておくが、彼女は姿形こそ、どこにでもいるカラスだが、魔法使いの言葉が理解できるあたりで察しがついている通り・・・魔族である。


 ・・・ただし、下級・・・。


「いや・・・分かってるんだけどさ・・・。でも、俺が呼び寄せたみたいなものだし・・・俺が相手するのが道理だろう?」


“そんなところで契りを立てなくても・・・ローマ教会、イエズス会、バチカン連合。いくらでも、対吸血鬼用対策を取ってくれるところなんてあるでしょ?”


「・・・・なんで、魔族のお前が、そんなに教会の名前に詳しいんだよ?」


 念のため、言っておくが、今名前を挙げた連中は、お前にとっても、敵だぞ。


“魔族だって、教会の無駄にお金かけたデザインを好むものはいるわ。特にあのステンドガラスなんてキラキラしてて大好き。”


 ・・・・・・お前・・・とうとう心までカラスになりやがったな。


「まぁ、いいけどさ・・・。そういうコトだから、ちょっと探してくれないか?」


 ロンドンですら半日でいける、今の時代。


 おそらく、吸血鬼はもう日本に来ている。


“吸血鬼を!?”


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