ラジオドラマ
“悠人はね・・・あなたに、この国の住民誰一人として犠牲になって欲しくないから、ワザワザ不利と知りながら、直接対決を申し込んできたのよ。あなたも紳士ならその程度の、契りを守ってもしいわ。”
悠人?
魔法使いの名前か・・・まぁ、魔法使いは決して本名を名乗ることがないから、偽名なのだろうが・・・。
「自らの魔力向上のためなら、同属すら殺す分際でよく言ってくれるな・・・。」
棚上げもいい所だと思った。
魔法使いは、自らの技術向上のためなら人間・・・いや、同じ魔道師すら生贄にささげる。
人間の生き血をすすり力を蓄える俺と、同じ人間の血で力を向上させる魔道師。
その違いにどの程度の差がある?
“・・・・・・別に、あいつを弁護する気はないけどね・・・悠人は過去に一度も生贄なんて野蛮な手は使ったことないわよ。あなたも見習うことね。それと、私は仮にもあいつの使い魔なの。あまり、主人を侮辱したら私だって容赦しないわよ”
カラスの目に軽い怒気がこもる。
邪気が強くなったのを感じた。
なんという忠誠心。
裏切りと、騙すことしか脳のない魔族をここまで従えることが出来る人間を、ジュードは知らない・・・。