ラジオドラマ
<Wizard>

 
 人気のない野原だった。


 暴れても被害が出ない、広い野原。


 そこに悠人は立っていた。


 全身を純白のローブに身にまとい、いたるところに魔方陣を敷き、大事な杖を装備している右手には、ワンドを装備している。左手にある分厚い書物はもちろん聖書だ。


 聖職者装備・・・。


 この姿では、悪魔のシャーリーすら近づくことが出来ない。


「あまり、聖属性の魔法は得意じゃないが・・・これで対抗するしかないよな・・・やっぱり・・・。」


 我ながら、似合わない格好だとは思う。


 自分は『魔法使い』であって、『聖職者』ではない。


 だが、吸血鬼を相手にするには、この格好しかなかった。


 悪魔に魔属性の攻撃をぶつけるほど愚かなことはない。


 それこそ、攻撃をすべて吸収されて、一瞬にしてやられるのがオチだ。


 だったら、せめて相反する聖職者装備に頼るしかなかった。


「・・・・・・・・悠人、あなたが戦うことはないよ。」


 その声は突然後ろから聞こえた。


「!」


 驚き、振り向くと、そこにいたのはとても美しい女性。


「美琴・・・?」


 悠人の同居人。


 あの事件以来、一緒に住むことになったホムンクルスである。


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