ラジオドラマ
「私なら、吸血鬼に血を吸われる心配もないし、あなたより、力もスピードもある。私に任せれば、いいよ。」
・・・・・・・・・気づいていたのか・・・。
俺も、マダマダ甘いよな・・・。
「女が口を挟むなよ・・・これは、男同士の戦いだ。」
そんな言葉で誤魔化すのが精一杯。
「悠人は、そういうこと言って、いつだって一人で戦おうとする!よくないと思う!」
分かってるよ・・・
分かっているけど・・・。
相手は吸血鬼なんだぞ。
ジュード・ヴァレンタインなんだぞ。
お前が、いくら力があろうと、いくらスピードがあろうと、そんなものいとも容易く突破されるに決まっている。
「別に、シャーリーもついているし、一人じゃないよ。」
そんな言い訳をしてみるが・・・。
「その格好じゃ、シャーリーだって近づけないじゃない。知ってるんだから!」
・・・・・・人の魔道書勝手に読むなよ・・・美琴さん・・・。
「仲が良いな・・・決戦前に痴話げんかとは・・・。」
その声は上から響いた。
聞きなれない声。
顔を向けると、そこにいたのは黒いコートを身にまとったアイスグリーンの瞳をした肌白い男。
・・・・・・ヴァンパイア・・・ジュード・ヴァレンタイン・・・・・・。
1000年と長い月日を生きて、その身に魔力を帯びた悪魔・・・。
勝てる勝てないの世界ではない・・・。
戦うしかないのだ。
悠人は、ごくりと生唾を飲み込むと静かに決意を固めた。