ラジオドラマ
「どうした、突然?」


 ・・・・『悠人はね・・・あなたに、この国の住民誰一人として犠牲になって欲しくないから、ワザワザ不利と知りながら、直接対決を申し込んできたのよ』・・・”


 悪魔が、人間の世界で生活するにはいくつかの制約がある。


 あのシャーリーというカラスが受けている制約は・・・嘘がつけない・・・というコト。


「いいから、答えろ、魔道師・・・。」


  ・・・答えろ、魔道師。


 お前は、どうしてそこまでして戦う?


 お前が守りたいものは・・・なんだ?


「・・・・・・・・・ダチがいるんだよ。」


 魔道師の答えは単純明瞭だった。


 友人・・・か。


「ダチがいて、家族がいるんだ。俺は魔道師だから・・・人と違う力を持っているから・・・ダチを守る義務と・・・家族を救う義務があるんだ・・・てめぇごときに負けてられねぇんだよ。」


 魔道師の言葉はあまりに、まっすぐだった。


 若い魔道師。


 生贄を嫌い、友を家族を守るためなら自らの身体が壊れるのもいとわないと言う、魔道師。


 ・・・・・・・・・・人と違う力があるから、守る義務がある・・・・・・。


「・・・・・・そうだな。」


 ジュードは、ポケットからタバコを取り出すと、火をつける。


 一息。


「昔、大きな戦争があった。いつ止むとも分からぬ戦争だ。そこでは、少女が機械の身体に変えられ、戦うことを強制され、人が人として生きることを許されなかった。」


 ジュードは静かに語りだした。



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