ラジオドラマ
<Vampire>


「そうか・・・・・。」


 悠人の答えに、ジュードの言葉はあまりに簡素だった。


 思えば、長く生き過ぎたのかもしれない。


 神は・・・いかなる生命にも悠久の時を生き続けることを許していない。


 生まれし者は必ず死ぬ。


 そんな神の決めた制約の世界で、俺は非常に長く生きた。


 数多くの地獄を見て、数多くの命を奪ってきた。


 仕方ない・・・そう思ったことも何度もあった。


 しかし・・・目の前の少年は言った。


 『力あるものは、守る義務がある。』


 俺は・・・・・その義務を、どれほど果たせていたのだろうか・・・。



 
 ・・・・・・・ここが潮時か・・・。



 
「神よ・・・感謝する。俺のような悪魔には贅沢すぎる死に場所だ。」


 ジュードは、生まれて初めて神に感謝をした気がした。


 目の色をさらに赤く輝かせる。


 そして・・・


「行くぞ、魔道師!」


 ジュードは加速する。


 魔道師に向かい・・・。


 己の命を散らすために・・・。



< 35 / 77 >

この作品をシェア

pagetop