ラジオドラマ
「・・・・・・・なぜ・・・・瞳の色を元に戻した?」
先に口を開いたのは、相手の首元にワンドを向けている、魔道師だった。
「お前こそ・・・どうして、止めを刺さなかった?」
瞳の色を赤から、青に戻した吸血鬼が聞いた。
「わかんねぇ・・・。」
それが、魔道師の答え。
「そうか・・・なら・・・俺もよく分からん。」
それが、吸血鬼の答え。
両者の間に落ちた、一輪の白い花を吸血鬼が拾う。
「・・・・長生きはするものではないな。」
こんなにも悲しい別れがありながらも、その記憶は徐々に薄れていく。
それだというのに、後悔だけはいつまでもぬぐえることが無い。
時代と言うのは、あまりに残酷。
時の流れと言うのは、非常にも残酷だ。
「・・・それが、お前の宿命だろう?」
もちろん、吸血鬼だって不老不死ではない。
いつか、俺にも死ぬときが来る。
いつか・・・彼女の元へ行くときが来る。
だが・・・それがあまりに遠く・・・。
あまりに、先があり・・・・。