ラジオドラマ

「そっか・・・。」


 8は理解したらしい。


 元々知能は高いのだ。


 ただ、誰も彼女に言葉を教えず、文字を教えず・・・





 そして・・・・未来を教えなかった・・・・・・・・・。




 だから、こんなにも歪んだ少女が出来上がった。



 こんなにも穴だらけの兵器が生まれた。


 希望を持たない生き物は人間と呼ばない。


 知恵のない人は、「人」とは呼ばない。


 お前は、まだ獣の域を脱していない。


 それでは、俺に勝つことはできんよ・・・。


「もし、私が学んで強くなったら、また戦ってくれる?」


 ・・・・・・いや、お前が下手に知恵つけたら、俺・・・勝てないし・・・。


「まぁ・・・いいよ。」


 だが・・・無垢な少女の瞳を向けられたら、こんな言葉を返すしかない。


「やったね。」


 そのとき・・・由良は一瞬8が笑ったような気がした。


 あくまで気のせいだが・・・・・・。


 ・・・・・・・・・でも・・・。


 そうだな・・・・・もし、いろんなことを学び、覚えれば、もしかしたら笑う日が来るのかもしれないな・・・。


 そう思うと、少しだけ、自分のやったことが誇らしく思える由良だった。






おしまい。
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