ラジオドラマ
<海人>


 命のやり取りにルールはない。


 皐月を使うことは決して反則ではない。


 ジークがそれに対抗できるだけの武器がなかったこと。


 ・・・・・・ただ・・・それだけの話なのだ・・・・。


『俺に、皐月を操縦させるなよ・・・クセが強すぎるんだよ!この機体は・・・』


 通信機から皐月を持ってきたアルクのボヤキが聞こえるが、今は聞かない。


 と言うより、普段からお前が整備しているくせに、今さら何をほざくか・・・。


「卑怯者・・・と呼んだほうがいいのか?」


 ジークの言葉。


 両手を挙げて、降参のポーズを取っている。


 自慢のライフルは既に、足元だ。


「殺し合いに、そんな言葉があるならな。」


 ジークの質問に海人が答える。


「そうだな・・・。」


 ジークも納得したようだ。


 そう・・・戦いではない。


 お互いに決してペイント弾を使っていたわけではない。


 彼らは決して演習をしていたわけではなく、実弾、実銃を使い、命のやり取りを行っていたのだ。


 ・・・・・・・ならば、そこに卑怯なんて言葉は存在しない。


 いかなる手段を使おうと、生き延びたものが勝者であり、死んだものが敗者なのだ。


 死者に口を開くことは出来ない・・・・。


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