真夜中プリズム


ほとんど毎日出かけていたのに、もう1週間以上、外に出ていなかった。

部屋すらロクに出ていなくて、最初は心配していたお母さんもそろそろ呆れはじめている。


うん、わかってはいるんだ。自分でもバカみたいだって。そんなの十分にわかってる。でもだめなんだ、どうしても、今は何もする気にならない。


クーラーでキンキンに冷やした部屋の中で、ベッドにあおむけになりながらぼうっと見慣れた天井を見ていた。

天井の木目、変な染み。伸ばせば簡単に手が届く場所にそんなものがあるだけの視界。


窓の外は相変わらずの晴天だった。夏の、近い、濃い青色の空。

あの空の下は今日も暑いんだろうか。太陽がすぐ側にあって、ジリジリ熱くて眩しくて、焼けそうな、蒸し暑い空気。


寝返りを打って窓に背中を向けた。Tシャツから出た腕が冷房で冷えて寒くて、足元のタオルケットを肩まで引っ張り上げた。

床に、放りっぱなしのスマホを見る。カーペットの上で静かに黙って、それはどこか寂しそうに転がっている。

画面は真っ暗なまま。今日もそのスマホは、メッセージを受信しない。


あれから一度もメールは来ない。毎日来ていた、真夏くんからのたどたどしいメール。

でもそんなのあたりまえだよね。来るはずないって。待つのも、ばかばかしい。


あたしのせいなんだ。八つ当たりみたいなことして。真夏くんは何にも悪くなんてないのに、あんなこと、言って。

呆れたかな。そりゃそうだよね。

もうきっと、これでおしまい。

ふたりの、誰にも内緒の部活動。
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