真夜中プリズム
宮野真夏。
芸能人みたいな美形で、ウチの学校で今一番の有名人。
入学時から学年問わず女の子たちを騒がせていて、告白する子も後を絶たずで。
でも……こういう噂もある。
宮野真夏は、ちょっと変わってる。
じっと、いつまでも、彼は空を見上げていた。
一体何を見てるんだろうってあたしも同じとこを見てみたけど、いるのはいつも見る数羽のハトだけ。
もしかして、あのハトを観察でもしてるのかな。生物の授業の一環? 野鳥研究? そんなまさか。
おんなじ場所、ずっと見て。
一体、何を考えてるんだろう。
「…………」
宮野真夏は、あたしが、じいっと眺めているのも気づかずに、ハトと雲だけの空をずっと見ていた。
最近は日が長いから空の色はまだ青だ。でもだいぶ太陽は落ちてきている。もうじき、その色を変える。
あたしはいつまでここにいればいいんだろうって、思うけど、帰り辛いし向こうからの動きもない。
仕方なしに、また、グラウンドを覗いてみた。
サッカー部は休憩に入っていて、野球部は試合形式の練習をしている。
陸上部は、ただひたすら、真っ直ぐな道を走っている。
──パアン
ピストルの音が鳴る。