真夜中プリズム
確か……宮野真夏、って言ったっけ。
この学校じゃもう知らない人はほとんどいないんじゃないのかな。入学時から校内で騒がれている1年生。
勉強が恐ろしくできるわけでも、スポーツで大変活躍しているわけでもない。
単純に、人目を引く、端麗な容姿を持っているからだ。
あたしも何度か近くで見かけたことがあるけれど、確かに、綺麗って言葉がこんなにも似合う男の子に会うのは初めてだって心底思った。
まるでモデルさんみたいで、華があるってこういう人のことを言うんだろうなって。
どう見たってまわりの他の男子たちと雰囲気が違うんだもん。別世界の人って言うか、雲の上の人って言うか。
当然告白する子が後をたたないみたいで、噂だけなら毎日聞く。実際に現場だって何度か見たことがあるし、中にはうちの学校の子じゃない女子だっていた。
本当かは知らないけど、ファンクラブもあるって話だ。なんだか本気で芸能人みたい。そのうち本当にテレビの中で見かけたりして。
「いやあ目の保養になったなー。今日もひと目見られてよかったあ」
絵奈が、あんまりしみじみ呟くから、なんだか可笑しくてちょっと笑えた。
「なに、こんな遠くからでも十分なんだ?」
「あたしは欲張らない女だからね。てか昴ってさあ、なんかいつもあんまり興味なさそうだよね、かっこいいとか思わないの?」