I love you に代わる言葉
01話 指先の熱~ユビサキ ノ ネツ~
 ――……夕刻。とある大型ショッピングモールにて交わされる言葉。まぁそんなのはいつもの事だ。


「今日はどの店行く?」
「“煌宝(こうほう)”って店なら楽勝だぜ」
「――ボク、そこに行くよ。アンタはもう行けないだろ?」


 そう言って仲間二人に背を向けた。
「おい日生(ひなせ)、一人で行くのか?」
 歩き出そうと一歩踏み出した所で、仲間の一人が問い掛けてきた。一応振り向いてやる。
「一人だと面倒が少なくて済むからね」
 そう言って薄く笑うと、問い掛けてきたそいつの顔は一変し、ムッとした表情になった。
 それにも動じる事なく再び歩き出す。ボクの後方で仲間の二人が何か言っているが、無視でいい。
 通い慣れた通路を真っ直ぐ無表情で歩く。また来てるのか、と言いたげな視線を浴びせる店員も数名居るが、そんなもの全部、無視すればいい。



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