I love you に代わる言葉
あれ以来、学校帰りに、もう一度おねーさんに会おうと何度か店に足を運んだ。ただ、毎日来た訳じゃないから、目的の人物に会う事はなかなか叶わなかった。
無愛想なオバサンが立っている事が多く、たまに、ボクが探しているおねーさんではない若い女が居た。これまでオバサンしか見た事がないから、従業員が少なくとも三人居た事に少なからず驚いた。
おねーさんがいつ、何時にそこに立つのか解らないボクは、目的を果たす為こうして何度も足を運ぶ羽目となった。そして今日、漸く会えた。
勘違いしないでよね、別に会いたくて来た訳じゃない。目的は二つだ。
「怪我、治りました?」
店内へと入ると、おねーさんはゆっくりとこちらに近付いてきた。背筋もピンと伸びて、歩く姿が綺麗だ。いちいち所作が上品な人だ。
「ああ、うん」
ほらね、と言って右手をおねーさんの眼前に広げて見せた。それを見てふふっと笑うと、一言「それなら良かったです」と言った。
「あれから二週間も経ってるんだ、深い傷でもないし治るよ」
「そうですか。血が結構出ていたようですから、深く切ったのかと。でも完治したのなら良かったです」
そう言って笑う。ボクは目を逸らした。おねーさんは「笑顔」という印象しか無い気がした。ボクとは、正反対で。以前も感じた事だけど、僅かな歪みも無い笑顔というのは、なかなか直視出来ないものだ。
「……今日は何か用があって来たんですか?」
数秒無言で居たボクに、おねーさんは尋ねてきた。まぁ、目的が無ければ絶対に来ない場所だ。万引きしていた事を知られている店でそれでも尚やろうなどとは思わない。
「……借り、返しにきた」
此処に来た目的の一つがそれだ。
無愛想なオバサンが立っている事が多く、たまに、ボクが探しているおねーさんではない若い女が居た。これまでオバサンしか見た事がないから、従業員が少なくとも三人居た事に少なからず驚いた。
おねーさんがいつ、何時にそこに立つのか解らないボクは、目的を果たす為こうして何度も足を運ぶ羽目となった。そして今日、漸く会えた。
勘違いしないでよね、別に会いたくて来た訳じゃない。目的は二つだ。
「怪我、治りました?」
店内へと入ると、おねーさんはゆっくりとこちらに近付いてきた。背筋もピンと伸びて、歩く姿が綺麗だ。いちいち所作が上品な人だ。
「ああ、うん」
ほらね、と言って右手をおねーさんの眼前に広げて見せた。それを見てふふっと笑うと、一言「それなら良かったです」と言った。
「あれから二週間も経ってるんだ、深い傷でもないし治るよ」
「そうですか。血が結構出ていたようですから、深く切ったのかと。でも完治したのなら良かったです」
そう言って笑う。ボクは目を逸らした。おねーさんは「笑顔」という印象しか無い気がした。ボクとは、正反対で。以前も感じた事だけど、僅かな歪みも無い笑顔というのは、なかなか直視出来ないものだ。
「……今日は何か用があって来たんですか?」
数秒無言で居たボクに、おねーさんは尋ねてきた。まぁ、目的が無ければ絶対に来ない場所だ。万引きしていた事を知られている店でそれでも尚やろうなどとは思わない。
「……借り、返しにきた」
此処に来た目的の一つがそれだ。