I love you に代わる言葉
*
一組の教室を目前とした所でつと視線を上げれば、教室前に、シンと名乗った男がいた。あいつはこちらに背を向けているが、ボクにはそれがシンである事が一目で解った。
何やら教室内を見やり、そこから出てきたメガネをかけた男子生徒を呼び止めている。
あいつを知っているかと今井に尋ねようと横を向けば、今井も同じ人物を見ている事が解った。そして言った。
「日生」そう呼んだ後に、「あいつが昨日話した『笹山』だ」
顎をしゃくってシンを指す。
ボクは驚きのあまり足を止め、今井とシンとを交互に見やった。今井はどうしたんだと言わんばかりに目を見開き、ボクと同様立ち止まる。
――……どういう事だ? こいつは昨日、名を『ササヤママコト』と言った。だがあいつは『シン』と名乗ったんだ。
シン、マコト……。
そしてハッとする。――そうか。そうだったのか。
二つの名を頭の中に並べて、漸く合点がいった。
一組の教室を目前とした所でつと視線を上げれば、教室前に、シンと名乗った男がいた。あいつはこちらに背を向けているが、ボクにはそれがシンである事が一目で解った。
何やら教室内を見やり、そこから出てきたメガネをかけた男子生徒を呼び止めている。
あいつを知っているかと今井に尋ねようと横を向けば、今井も同じ人物を見ている事が解った。そして言った。
「日生」そう呼んだ後に、「あいつが昨日話した『笹山』だ」
顎をしゃくってシンを指す。
ボクは驚きのあまり足を止め、今井とシンとを交互に見やった。今井はどうしたんだと言わんばかりに目を見開き、ボクと同様立ち止まる。
――……どういう事だ? こいつは昨日、名を『ササヤママコト』と言った。だがあいつは『シン』と名乗ったんだ。
シン、マコト……。
そしてハッとする。――そうか。そうだったのか。
二つの名を頭の中に並べて、漸く合点がいった。