I love you に代わる言葉
*
ボクが選んだ場所は体育館裏だ。
不自然な間合いを保ちながら無言で歩くボク等の姿は、さぞ奇妙だったろう。登校時とはまた違う奇異と好奇の眼差しが飛んできた。
体育館裏に到着するや否や、ボクの少し前にいた笹山真は振り返り、口を開いた。
「――で? 俺を待ってたって事は、聞かせてくれるのか? 答えを」
「その前にアンタの目的教えなよ」
「目的、か」
そう言って笹山真は暫し黙った。
目を僅かに伏せ、何やら真剣に考え込んでいる。その表情は、ボクの猜疑心を一瞬で砕くような、憂いを帯びたものだった。物悲しげな双眸は少しずつ陰りを帯び、ついには悲しみを直視するような。それは遥か彼方であり、すぐ傍でもある。これは悲しみを知る目だ。
言うべきか否かを迷っているのか。もしかしたらボクは、触れてはいけない事に触れてしまったのかも知れない。
ボクはただ言葉を待っていた。それしか出来なかった。
肌をチリチリと焦がしそうな暑さ。熱風が吹く。互いに汗を滲ませている筈なのに、ボク等の間にある空気はとても熱気に包まれているとは思えない。
笹山真は漸く徐に口を開いた。
「目的――の前に、まず最初に話すのは、俺の取るべき行動の方からでもいいか?」
やや間を置いた後に、「ああ」と短く答えれば、笹山真は話し出した。
「俺の行動は単純なものだ。あんたがあの時の気持ちを肯定したならば、俺はそれに協力しようと思う」
その言葉に驚いて小さく目を見開いた。
ボクが選んだ場所は体育館裏だ。
不自然な間合いを保ちながら無言で歩くボク等の姿は、さぞ奇妙だったろう。登校時とはまた違う奇異と好奇の眼差しが飛んできた。
体育館裏に到着するや否や、ボクの少し前にいた笹山真は振り返り、口を開いた。
「――で? 俺を待ってたって事は、聞かせてくれるのか? 答えを」
「その前にアンタの目的教えなよ」
「目的、か」
そう言って笹山真は暫し黙った。
目を僅かに伏せ、何やら真剣に考え込んでいる。その表情は、ボクの猜疑心を一瞬で砕くような、憂いを帯びたものだった。物悲しげな双眸は少しずつ陰りを帯び、ついには悲しみを直視するような。それは遥か彼方であり、すぐ傍でもある。これは悲しみを知る目だ。
言うべきか否かを迷っているのか。もしかしたらボクは、触れてはいけない事に触れてしまったのかも知れない。
ボクはただ言葉を待っていた。それしか出来なかった。
肌をチリチリと焦がしそうな暑さ。熱風が吹く。互いに汗を滲ませている筈なのに、ボク等の間にある空気はとても熱気に包まれているとは思えない。
笹山真は漸く徐に口を開いた。
「目的――の前に、まず最初に話すのは、俺の取るべき行動の方からでもいいか?」
やや間を置いた後に、「ああ」と短く答えれば、笹山真は話し出した。
「俺の行動は単純なものだ。あんたがあの時の気持ちを肯定したならば、俺はそれに協力しようと思う」
その言葉に驚いて小さく目を見開いた。