I love you に代わる言葉
「何がだ?」
「過去に何かあった、と言ったけど、それだけとも言えないって事さ」
「ああ、そういう事か。で、他にどんな意味があるんだ?」
「馬鹿な男に引っ掛かり、不幸が目に見えているから救いたい、とも考えられる。まぁ、おねーさんが馬鹿な男に引っ掛かるとも思えないけど……可能性の一つとして考えられなくはない」
「ああ~……」そう言って語尾を伸ばしながら暫し考えた後、「有り得ねぇだろ」今井は強く否定した。
「だから可能性の一つとして挙げただけさ」
「要するに、分かんねーって事だろ。あれこれ考えたってどうせ答えなんて出ねぇしよ、もういいじゃねーか。あいつに仲取り持って貰おうぜ。信用出来ると思ったんだろ? それに弟だぜ? こんな頼もしい助っ人は他にねぇよ!」
 今井は明日を見るようなキラキラと輝かんばかりの瞳でそう言うと、何故かガッツポーズをした。別にこいつに利がある訳でも無いだろうに。
 だけどまぁ、今井の言う通りだ。思いもよらぬ申し出だった。あいつの要請で連絡先も交換したし、何かあれば連絡は取れる状態になった。ただ、あいつの行動は予測不可能だ。頭が回る故、何を仕出かすか解らない。良い意味であったとしても、あっと驚く事をやってのけそうだから少々厄介だ。



< 126 / 415 >

この作品をシェア

pagetop