I love you に代わる言葉
それから数刻過ぎ、差し込む西日が眩しくて目を細めれば、それに気付いた今井がカーテンを閉めて部屋の電気を点けた。その直後、階下から「ただいま」という声が届いた。どうやら母親が帰宅したみたいだ。
ボクが今日から数日間世話になる事を、今井の母親は了承済みらしいが、ボクからも何か言わなければならないだろう。それくらいの常識はある。
ボクが階下へ向かい挨拶すべきかと思考を巡らせていると、バタバタと階段を上ってくる音が聞こえてきた。その足音は襖の向こうで止まり、その位置から「康介ー」と中に呼びかけてくる。康介とは今井の名だ。
「何だよ」と今井が面倒臭そうに返事をすると、母親が襖を開けて中に入ってきた。
襖のすぐ傍に座っていたボクと、はたと目が合う。今井って母親似なんだなとどうでもいい事を思った。
「康介、この子が日生君?」
言いながら一度今井に視線を向け、再びこちらに視線を戻す。「ああ」とぶっきらぼうな返事を聞くと、母親は破顔した。瞳をキラキラさせながらボクの前に座り込むと、
「まあ可愛い!」
そう言って胸の前で手を組み、殆ど拝むようにボクの顔を見てくる。
ボクはというと、情けなくも戸惑い、言葉を完全に見失っていた。
ボクが今日から数日間世話になる事を、今井の母親は了承済みらしいが、ボクからも何か言わなければならないだろう。それくらいの常識はある。
ボクが階下へ向かい挨拶すべきかと思考を巡らせていると、バタバタと階段を上ってくる音が聞こえてきた。その足音は襖の向こうで止まり、その位置から「康介ー」と中に呼びかけてくる。康介とは今井の名だ。
「何だよ」と今井が面倒臭そうに返事をすると、母親が襖を開けて中に入ってきた。
襖のすぐ傍に座っていたボクと、はたと目が合う。今井って母親似なんだなとどうでもいい事を思った。
「康介、この子が日生君?」
言いながら一度今井に視線を向け、再びこちらに視線を戻す。「ああ」とぶっきらぼうな返事を聞くと、母親は破顔した。瞳をキラキラさせながらボクの前に座り込むと、
「まあ可愛い!」
そう言って胸の前で手を組み、殆ど拝むようにボクの顔を見てくる。
ボクはというと、情けなくも戸惑い、言葉を完全に見失っていた。