I love you に代わる言葉
「康介にこんな可愛らしいお友達が居たなんて! しかもとっても賢くて何でも出来るって聞いてるわ! ご家庭で色々辛い事があったみたいね……狭くてボロい家だけど、暫くは此処に居ていいから」
「え、あ……アリ、ガトウ、ゴザイマス」
使い慣れない敬語。今井がボクについてをどう語ったのか疑問だが、それでもこうして親切に受け入れてくれようとしているんだ。恩人と言ってもいい。その相手にいつもの口調では甚だしく失礼である事は重々承知だ。だから何とか敬語を、と思ったがあまりに不慣れで不自然だった。礼一つまともに紡げない。ボクより外国人の方が流暢なんじゃないだろうか。
ボクの様子を見て、背後で今井がぷぷっと笑っているのが気に障ったが、この状況じゃどうにも出来ない。
今井の母親は、眉を下げ優しげな眼差しをこちらに向けていたが、突然スッと立ち上がり今井を睨み上げた。その直後、怒声が飛ぶ。
「康介! 何なのこの汚い部屋は!」
「あー? 片付けてあるだろ」
「これで片付けたって言うの!? 隅に寄せて座るスペース作っただけじゃないの! あーあー、服は脱ぎっ放しだし雑誌も広げたままで……どうせ布団も敷きっ放しだったんでしょう!? まったく……その内キノコが生えるわよ」
今井の母親は腰を曲げて、服やら本やらを持ち上げながら口喧しく言う。今井を見れば眉間に皺を寄せ、それはもう心底鬱陶しいと言わんばかりの表情をしていた。
「……うるせぇなー。片付けるからさっさと出てってくれよ」
「何なのその態度は! 綺麗にしとかないと日生君だって住み辛いでしょ。それくらい考えなさい」
今井は小さく舌打ちをした。
ボクは無言で二人のやり取りを眺めていた。母親とは口煩いと言うが本当だなと思った。そして反抗期というのは今井の現在を表すのだろう。『親子』とは、こういうものなのだろうか。
「え、あ……アリ、ガトウ、ゴザイマス」
使い慣れない敬語。今井がボクについてをどう語ったのか疑問だが、それでもこうして親切に受け入れてくれようとしているんだ。恩人と言ってもいい。その相手にいつもの口調では甚だしく失礼である事は重々承知だ。だから何とか敬語を、と思ったがあまりに不慣れで不自然だった。礼一つまともに紡げない。ボクより外国人の方が流暢なんじゃないだろうか。
ボクの様子を見て、背後で今井がぷぷっと笑っているのが気に障ったが、この状況じゃどうにも出来ない。
今井の母親は、眉を下げ優しげな眼差しをこちらに向けていたが、突然スッと立ち上がり今井を睨み上げた。その直後、怒声が飛ぶ。
「康介! 何なのこの汚い部屋は!」
「あー? 片付けてあるだろ」
「これで片付けたって言うの!? 隅に寄せて座るスペース作っただけじゃないの! あーあー、服は脱ぎっ放しだし雑誌も広げたままで……どうせ布団も敷きっ放しだったんでしょう!? まったく……その内キノコが生えるわよ」
今井の母親は腰を曲げて、服やら本やらを持ち上げながら口喧しく言う。今井を見れば眉間に皺を寄せ、それはもう心底鬱陶しいと言わんばかりの表情をしていた。
「……うるせぇなー。片付けるからさっさと出てってくれよ」
「何なのその態度は! 綺麗にしとかないと日生君だって住み辛いでしょ。それくらい考えなさい」
今井は小さく舌打ちをした。
ボクは無言で二人のやり取りを眺めていた。母親とは口煩いと言うが本当だなと思った。そして反抗期というのは今井の現在を表すのだろう。『親子』とは、こういうものなのだろうか。