I love you に代わる言葉
ふと、その石の隣にある重そうな石が目についた。何この汚い色の石。誰が欲しがるんだよこれ。使い道も無いし何するのこれ。何処に置くの。何でこんなものが高価なの。そんな疑問しか浮かばない。
この場からざっと周囲を見渡す。
これまで商品をろくに見もしなかった。ボクを囲う石たち全てが未知であり新鮮な気持ちにはなったが、無駄にキラキラしているだけでやはりくだらないものばかりだ。ボクはこんなくだらないものを盗っていたのか。まぁ、盗っても適当にその辺に捨てていたけど。
下方に移した視線の先にある小さな石を一つ掴んだ。見てみなよ。この丸くて黒い石なんか、その辺に落ちてても誰も価値のある鉱物だなんて気付かないさ。
結局どの石にも関心を持てなくて、一分と立たない内におねーさんの立つカウンターに戻った。
「何か気になるものがありました?」
傍まで来たボクに気付くと、おねーさんは俯けた顔を上げ、何やら作業中の手を止めボクに笑い掛けてきた。
「別に」
素っ気無い一言なのに、おねーさんはやはり気分を害す事はなくクスクスと笑っていた。
「でも、凄く真剣に見てましたね」
「ああ、汚い色してるのにやたら高価だし。使い道もないのに誰がこんなもの買うのさ」
商品にケチを付けているにも関わらず、おねーさんはやはりふふふっと笑う。大口を開けた下品な笑い方をしない。
「石に興味が無ければそれはただの塊に過ぎないですから、そう思うでしょうね。だけど、知れば知る程、石はとても奥深いものだと解るんですよ。石を傍に置いているだけで安心を得られる人もいらっしゃいますし」
「……安心する?」
意味が解らなくて怪訝な顔で問う。
「石にはパワーがあるみたいですから」
「はっ、くだらないね」
あまりに現実味が無くて逆に笑えてくる。だけどおねーさんは、そうですねって言って微笑んだ。それを聞いてボクは笑みを消した。
この場からざっと周囲を見渡す。
これまで商品をろくに見もしなかった。ボクを囲う石たち全てが未知であり新鮮な気持ちにはなったが、無駄にキラキラしているだけでやはりくだらないものばかりだ。ボクはこんなくだらないものを盗っていたのか。まぁ、盗っても適当にその辺に捨てていたけど。
下方に移した視線の先にある小さな石を一つ掴んだ。見てみなよ。この丸くて黒い石なんか、その辺に落ちてても誰も価値のある鉱物だなんて気付かないさ。
結局どの石にも関心を持てなくて、一分と立たない内におねーさんの立つカウンターに戻った。
「何か気になるものがありました?」
傍まで来たボクに気付くと、おねーさんは俯けた顔を上げ、何やら作業中の手を止めボクに笑い掛けてきた。
「別に」
素っ気無い一言なのに、おねーさんはやはり気分を害す事はなくクスクスと笑っていた。
「でも、凄く真剣に見てましたね」
「ああ、汚い色してるのにやたら高価だし。使い道もないのに誰がこんなもの買うのさ」
商品にケチを付けているにも関わらず、おねーさんはやはりふふふっと笑う。大口を開けた下品な笑い方をしない。
「石に興味が無ければそれはただの塊に過ぎないですから、そう思うでしょうね。だけど、知れば知る程、石はとても奥深いものだと解るんですよ。石を傍に置いているだけで安心を得られる人もいらっしゃいますし」
「……安心する?」
意味が解らなくて怪訝な顔で問う。
「石にはパワーがあるみたいですから」
「はっ、くだらないね」
あまりに現実味が無くて逆に笑えてくる。だけどおねーさんは、そうですねって言って微笑んだ。それを聞いてボクは笑みを消した。