I love you に代わる言葉

　階下へと向かいテーブルに並べられた食事を見て言いようのない感情が駆け巡った。
　今井が席に着いたのでボクもその隣の椅子に座る。そして眼前の料理をまじまじと見つめた。白地に青のストライプ柄の茶碗に白い御飯、小花柄の白いプレート皿にはハンバーグと人参のグラッセ、いんげんのソテー、プレート皿と同じ柄のスープ皿に、野菜スープが注がれていて、全ての料理から湯気が立つ。電子レンジで温められたものとは違い、たった今作られたもの。自分の為に、作られたもの。
「ごめんなさいね、日生君。何処にでもあるような料理しか出せなくって。食べられる？」
　声を掛けられハッとした。
　温かい御飯に、温かい人間に、温かい言葉に。


　泣きそうになった。


「ハイ……全然」
　俯いて小さく返事をすると、ふふっと小さく笑う声がしたから、若干可笑しな日本語はきちんと伝わったらしい。
「食おうぜ」
　隣から声を掛けられ、それには素直に従った。