I love you に代わる言葉


 終礼も終え、帰り支度を整えて席を立つ。
 笹山真からのメールについてを話す為、今井の元へ向かおうとしたが、何故か今井は居なかった。だが、鞄が机の上に置かれている。何処へ行ったんだあいつは。
 小さく溜息をつきながら肩に掛けた鞄を机に無造作に置くと、足を投げ出すような形で再び椅子に腰を下ろした。
 群れを作りながら数人で帰っていく生徒、テストの出来が不満なのか険しい表情で席を立つ生徒、それとは間逆で余裕かました表情で帰っていく生徒、ゲラゲラ笑いながら帰っていく生徒。種々様々なクラスメートを何となく眺めながら今井が戻るのを、そして笹山真がやってくるのを待っていた。
 待つこと三十分。言うまでもなく、ボクの苛立ちは頂点に達していた。
 バタバタと足音を立てながら、今井が慌てて教室に入ってくる。
「日生悪ぃ!」
 息を切らしながら今井は謝罪の言葉を述べた。だけどボクは、視線を合わせる事無く、ただ無言で、ガタンッと無駄に大きな音を立てて立ち上がる。不機嫌である事が一目瞭然なボクの態度に、今井は困惑している様子だった。
 笹山真からも何も連絡が無く、それにも同時にイラついていたんだ。
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