I love you に代わる言葉
「お前「ウマイ」って、それだけかよ!? もっと何かあるだろ!」
「何さ急に……ウマイものをウマイって言う以外に何があるのさ」
「色々あるだろ! 具体的に何がどう美味いのかとか!」
「美食家や料理評論家じゃあるまいし、それ以上のコメント求められても困るんだけど」
「別に料理番組みたいなコメントじゃなくても何かあるだろ!」
「アンタだってさっきから「うめぇうめぇ」しか言ってないだろ」
「あのな~、手料理だぞ!」
「関係無いね。それにアンタが作ったワケじゃないだろ」
 ピシャリと言い切り、面倒な言い合いを断ち切るように白御飯を口に入れ咀嚼した。案の定反撃出来ないのか、今井はわざとらしくフンッと鼻を鳴らすと、呆れた視線を寄越してきた。
 今の言い合いで場の空気が悪くなったかと思ったが、何故かおねーさんはクスクス笑っていたし、シンは苦笑を漏らしながらやれやれと言わんばかりに肩を竦めて見せた。
 ボクは笑っているおねーさんを見ながら、ちょっと眉を吊り上げる。
「何で笑うのさ」
 不貞腐れたように言えば、おねーさんはそんなボクを見て今度は嬉し可笑しそうに笑う。
「ふふ、ごめんなさい。二人とも可愛いなって思って」
 思いがけぬ言葉にポカンとした。
 おねーさんの発言に複雑な感情を抱いたのは、言うまでもない。






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