I love you に代わる言葉


 暗い室内。時刻は一時半を回っている。ボク等三人は、シンの部屋で寝る事にした。俺はリビングで寝るから、俺の部屋は二人が使えよ、シンはそう言ったけど、流石に追い出せない。アンタが出ていかなくても十分な広さがあるから三人寝られるだろ、とボクは言って、結局全員この部屋に寝ている。テーブル等を隅に寄せ、スペースを作り、ベッドの横に布団を二枚並べて敷いた。それに寝ているのはシンと今井。ベッドは二人に譲られた為、ボクが使う事になった。
 ボクは両手を頭の後ろに組み、仰向けに寝転がっていた。天井を無意味に見つめながら、夕食時を反芻する。
 初めは皆で一緒に食事をする事に躊躇いがあったが、結局何だかんだわいわいと明るい食事風景だったと思う。あ、表現を誤った。今井一人はギャーギャーだ。煩いしやたらと突っ掛かってきたからな。それを見ておねーさんとシンは笑うし、何なんだ。
 おねーさん、可愛いって言ってたな。それって弟みたいに思ってるって事だろうな、多分。
「――眠れないのか?」
 真ん中の布団に寝転んでいるシンが、不意に声を掛けてきた。今井は既に寝ているようだ。
「別に」
「暑くて寝苦しいなら、クーラー点けていいぜ」
「別にいいよ。慣れてるし」
「そうか」
 シンはそれだけ言うと、寝返りを打ってボクに背を向けた。
「アンタこそ眠れないの?」
「いや、もう寝る」
 シンはそう言うと、目を閉じた。背を向けているが、そんな気配がした。
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