I love you に代わる言葉
「……時期が来たら話す」
数秒後、沈黙にポツリと言葉が降りた。やっぱり起きてたか。シンを見れば、あちらを向いたままだった。
「けど、居ないって言ったんなら大丈夫だ」
シンは静かな口調でそう言った。結局答えになっていないが、それでもシンの言葉には何故か安心出来た。妙な感覚とやらが少しずつ和らぐ。
「――ねぇ、喉渇いたんだけど」
いつもの調子でシンの背中に向かって言えば、シンは肘をついて僅かに起き上がると、顔だけ此方に向けた。
「急だな……もう俺は動くの面倒だ。勝手に冷蔵庫開けて好きなもの飲んでくれ」
シンはそう言って、パタリと倒れ込むように寝に入った。
ボクはのそのそと起き上がる。暗闇に目は慣れていたが、足元の視界はハッキリしない。まぁ、今井の部屋と違って綺麗に片付けられているから、何かを踏む事はないだろうが。――そう思った矢先、何かを踏んだ。足元を凝視する。……ああ、今井の足か。まぁいいや。今井はもぞっと身動きした。今井の意識は夢の中らしいが、その身動き一つが、全身で文句を投げ掛けてきているようだった。此処に寝てる方が悪いんだろ。