I love you に代わる言葉


 ボクは真っ直ぐ家に帰らずぶらぶらしていた。
 こうして授業や学校をサボる事は珍しくない。先生も最初の頃こそ注意をしてきたものの、次第に何も言わなくなった。言っても聞かないと諦めたからなのか、ボクの成績がいいからなのかは知らない。
 俯けていた顔、伏せた目元に流れる前髪を、初夏の風が揺らした。
 三十分程歩いたか。初夏とは言えこれだけ歩くと流石に汗ばむ。
 足を止めて暫し考える。これからどうするかを。目的も無く学校をサボってしまった。目的があればサボっていい訳じゃないけどね。学校なんて面倒な事ばかりだ。人間なんて煩わしいものでしかない。
 この道を真っ直ぐ行けば自宅に着く。左に行けばショッピングモールがあるな。
 そう考えて、進行方向を前から左に移した。



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