I love you に代わる言葉


 ショッピングモールに到着して気付く。ボクは何の為に此処へ来たのか解らないという事に。
 一応館内へと入館し、汗ばんだ身体が求めた涼を得る事は出来た。が、これから先の事など何も考えていなかった。
 取り敢えずぶらぶらと歩き回る。これでは補導されかねないが、万が一の場合上手く言い包めて切り抜ければいい。
 響き渡る館内放送。老人が迷子の様だ。ボクには関係無いが。放送が終われば今度は音楽が鳴り渡る。
 ボクの足が向かう先は何処か。ボクの求めるものは何か。
 これまでのボクならムシャクシャして万引きでもしたかも知れないが。あ、万引きで思い出した。何故おねーさんが知っていたのか謎のままだ。どうせ来たんだ、聞きに行こうか。
 無理矢理こじつけた理由に、思わずふっと苦笑が漏れた。その声が僅かに聞こえたのか、ボクの横を通り過ぎる人が不審な目を向けてきたのが視界に入る。
 やっぱり帰るか。そう思い踵を返そうとした所で、
「こんにちは」
 不意に声を掛けられた。驚いて顔を上げると、目の前にはおねーさんが立っていた。
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