I love you に代わる言葉

「『あの時』アンタが居なかったらさ、ボクは……今……。ま、色々と救われたよ」
　はは。最後だとこんなに素直な言葉が出るんだな。悲しいというより笑いが込み上げてきそうだった。自分が自分じゃないから気持ち悪くて。
　ボクの言葉が木霊しそうな程静かで。不気味な程黙りこくる今井を不思議に思って振り向けば、ボクはただただ驚かされて目を見開いた。
「なっ……アンタ、泣くことないだろ……！」
　今井は馬鹿みたいに泣いていた。思わずたじろぐ。今井はズズッと鼻水を啜り、Ｔシャツの袖の部分で乱暴に涙を拭った。
「なっ……泣いてねーよ！　雨に打たれたんだよ！」
　何処でだよ……屋内なんだけどここ。しかも思いっ切り外晴れてるし。
　無理がありすぎる言い訳に、ボクは思わず吹き出した。
「ははっ、何なんだよその言い訳。それに何、その情けない顔。ホント、バカなんじゃないの」
　そう言ってカラカラと笑えば、今井は流れる涙をそのままに、ただじっとボクを見る。そしてまた、うわっと泣き出した。